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沖田に引きずられるまま、朔は壬生浪士組の門をくぐった。
沖田はそのまま誰かの部屋へと向かう。
「沖田です。巡察中不審な女を発見したので、つれてきました」
「入れ」
部屋の中には眉間にしわを寄せ、不機嫌そうな顔をした男が座っている。
不機嫌そうではあるが、涼しげな整った顔をしている。
「総司、ご苦労だった。で、なんでこの女をつれてきた?」
目の前の男が沖田に問う。
沖田はへらっと笑いながら答えた。
「屯所の前に寝てたんです、この人。それに聞いたことない言葉を話すし、服も変です」
「お前は異人なのか?」
男の質問の矛先が朔に変えられた。
朔はすっかり萎縮してしまい、その質問に答えられなかった。
そんな朔を見て、男はチッと舌打ちをした。
そして次の瞬間、朔の喉元には銀色に鈍く光る刀があった。
「お前は間者なのか?正直に話せ、嘘をつけば命はないと思え」
え、これはどういうこと??
初めて見る日本刀に朔の思考回路はストップした。
「さすが鬼の副長土方さん。女にも容赦ありませんねー」
横の方で沖田がへらへらっと笑う声が聞こえる。
朔はその刀を見て、自分の身に何かが起こっていることを知った。
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