月の光に導かれ

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今まで事故のショックと望が居ないことで頭がいっぱいで、ここの様子がおかしいことなど気付かなかった。 だが少し周りを見渡すとその光景は現代の日本とは明らかに違うものだった。 先ほどからすれ違う人は皆着物で、髷を結っている人や帯刀している人も珍しくない。 建物は全て一戸建ての低い家、その上コンクリート造りの家や電柱、コンビニなどの現代的な建物は一切ない。 そして今朔がいる部屋は畳敷きの純和風の部屋だ。 目の前の男2人も着物姿で当たり前のように刀を持っている。 ―――もしかしてここは21世紀の日本じゃない………? あり得ないようなことだが、そう考えれば今までのおかしいことの辻褄が全て合う。 ふぅっ 朔は目の前が真っ白になるのを感じた。 「あーあ、この人、気絶しちゃいましたねー。土方さんの顔が怖かったんじゃないですかー?」 沖田は楽しそうに茶々を入れた。 「うるせぇ。総司、今すぐ全員呼んでこい」 「この子も拷問にかけるんですか?かわいそうですねぇ」 ま、僕には関係ないことですけど。 興味なさそうに呟き、沖田は立ち上がった。
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