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朔は学校の前の交差点までたどり着いた。
信号はもう点滅している。
「はぁ………朔早いよ」
ちょうど望が追い付いたとき、信号は赤に変わった。
朔はケータイを開いて時計を見た。
時間は8時10分。
「良かった………間に合いそうだね」
安堵のため息が漏れる。
その時、轟音が響いた。
「朔ッ!」
そして望に突き飛ばされる。
すくんで動けなくなった私の目に映ったのは、目前まで迫ったトラックと私に覆い被さった望だった。
次の瞬間、今まで経験したことのないほどの痛みが全身を襲った。
頬に触れるアスファルトの熱とシャワーのように降り注ぐ蝉の鳴き声を感じながら、私は意識を失った。
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