見えない月が昇る頃

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「はぁ………朔早いよ」 信号が赤になった。 あたしたちは上がった息を整えながら、他愛もない話をする。 朔がケータイを開いた。 「良かった………間に合いそうだね」 その時、ふと顔をあげると歩道にトラックが突っ込んでくるのが見えた。 朔はケータイに気をとられていて気づいていない。 「朔ッ!」 叫んで朔を突き飛ばし、そのまま朔に覆い被さる。 次の瞬間、轟音を轟かせたトラックが目の前にいた。 不思議と痛みは感じない。 意識を失う寸前に、今朝の夢のような青い光を見た気がした。
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