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『君に見せたい物があるんだ』
そんな電話があったのは、昨日の昼頃だった。
少女と少年が出会って半年が過ぎていた。あれから、二人は度々会うようになり、今ではまるで兄妹のような間柄になった。
あの後知ったのだが、少年の名は恭祐(キョウスケ)。彼の言った通り、空軍パイロットだった。
『見せたい、物?』
『そう。あまり興味ないかもしれないけれど、君に見て欲しいんだ』
『……うん。わかった』
その日の夜、少女は恭祐が言っていた“見せたい物”というのが気になり、なかなか寝付けなかった。わくわくしていたのだ。
そして、今日に至る。
少女の目の前には、飛行機が鎮座していた。
彼女には飛行機の知識がないため、見ただけではよくわからないが、銃口が見えるところから戦闘機だと予想した。
「……これが、見せたい物?」
「うん」
少女の隣に立っていた恭祐が肯定する。
「戦闘機?」
「そう。俺の愛機、“ブルーライン”だ」
「ブルー、ライン」
少女はもう一度機体をよく見てみる。
二枚のプロペラは空色に染まり、真っ白なボディには無数の青いラインが走っている。全体的に空を想像させるような色合いだった。
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