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「……いい名前」
思ったことをそのまま口にする。
少女自身にも理由はわからないが、ブルーラインという響きが心地好く感じたからだ。
「そう? 見た目通りの名前で微妙だと思うけどな」
「ううん、いい名前だよ」
恭祐は不思議そうな顔をしていたが、理由を聞いてくることはなかった。
「ところで。……その子は?」
しばらくブルーラインを見つめていた少女は、恭祐の右腕辺りに視線を移して問う。
「え? ……ああ、こいつのことか」
少女の視線を辿った恭祐は、気がついたように言った。
少女の視線の先には、彼女と同い年くらいの少年がいた。彼は、怯えたように恭祐の腕にしがみついている。
「そう言えば会うのは初めてだったね。俺の弟だよ」
「……える、君?」
少女は、何度か恭祐から彼の弟について聞いていた。
日本人にしては珍しく、えるという名前だということ。優しい性格であるということ。
いろんなことを聞かせられていたため、少女はえるのことをよく知っていると思っていた。だから会えばわかると感じていた。
しかし、彼はイメージと違った。
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