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とある公園に、二人の子どもがいた。女の子と男の子だ。
公園に立つ大きな木。女の子は無邪気にその木を登り、それを不安そうに見つめる男の子。
「ねえ、あぶないよ」
「だいじょうぶだって」
男の子の忠告を軽く受け流し、女の子はどんどん登っていく。ついに、彼女は木の上に辿り着く。
「うわぁ……。たかーい!」
木の上から下を見渡し、はしゃいだ声をあげる。
「ねえ! たかしくんもおいでよ!」
女の子は、下にいる男の子を誘う。しかし、彼は首を振る。
「どうして?」
「だって、おかあさんがあぶないことしちゃいけないって」
「だいじょうぶ、あぶなくないよ」
「あぶないよ」
尚も首を縦に振らない男の子に、不満そうに頬を膨らませる女の子。
「たかしくんのよわむし!」
その言葉に、男の子は俯いてしまった。だって、と小さく呟いている。
その姿に、女の子は怒ったような表情を浮かべる。
「もういいよ!」
そう言うと、彼女は男の子から視線を外す。
太い枝に座っていた女の子は、幹を支えにその場にゆっくりと立ち上がる。
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