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中庭に着くと、花壇の縁にジャージ姿の佐伯が腰かけていた。
「佐伯くん」
手を振って近づくと、佐伯も立ち上がる。
「ごめんね、ごはん食べれた?」
「うん、大丈夫」
そっか。と、佐伯は赤い顔を俯かせる。
「放課後まで我慢しようと思ったんだけど、やっぱり顔見たくて・・・」
佐伯は俯いたまま頭を掻いている。見たいって言った顔にまだ視線は向けてこない。
でも、こう言われるのは素直にうれしい。好意がダイレクトに伝わってくる。
莉子は1歩佐伯に近づく。動いたら肩が少し触れるくらいのキョリ。近すぎず、遠すぎずのキョリ。
佐伯の俯いていた顔が少し上がって、周りを見てから、視線が莉子に降りる。
そして近づく。
莉子はそのまま佐伯の唇を受け止めた。
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