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「上村さん、おはよう」
校門の少し手前で後ろから聞こえた声に、上村莉子はゆっくりと振り返る。
「あ、佐伯くん。おはよう」
莉子はニコリと笑顔をつくり、佐伯が隣に並ぶのを待ってから歩き始める。
「あのさ、今日の放課後…暇?」
頭を掻いて照れたように佐伯は言った。
「今日?うん、暇だよ」
莉子は笑顔のまま佐伯の顔を見上げる。
「じゃ、放課後に」
佐伯はそう言って手を振り、下駄箱の方へと走って行く。
莉子も手を振りながら笑顔で見送った。
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