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「今日の小テスト、また私のほうが点数高かったね~。ごめんねぇ~?勝っちゃって♥」
…はい、これが今現在の澪さんです。
幼いころ、素直で可愛くて儚げで俺のあとをてこてこと付いてきていた澪はどこへやら。
「…はぁ…」
どこで育てかたを間違えたのか…。
「なにその溜め息、郁がちゃんと勉強しないのが悪いんじゃん」
「その通りですが~…」
「今回もちゃんと奢ってもらうからね!桜屋のシュークリームっ」
澪が嬉しそうに目を輝かせた。
普通にしてると可愛いんだけどなー。なんでなんだろうなー。話すとムカつくんだよなー。
話さないほうが可愛いぞとアドバイスしても、どうせまた頭を叩かれそうだから止めといた。
俺は学ランのポケットから財布を取りだし、中身を確認した。
俺たちは、数学の授業で週一で行われる小テストで勝負をしている。
そして負けたほうは、家の近所に昔からある菓子屋でなにかしら奢ることになっているのだ。
…只今絶賛4連敗中、俺。
今日もまた、なけなしの小遣いが澪の腹へと消えるのかと溜め息をつきながら
2人で目当ての菓子屋へと歩いて行った。
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