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家を飛び出したのは、いつもの出発時刻よりやや遅れていた。
…ふぅ、危ない危ない。
遅刻するとこだった。
「ちょっと、郁ぅ?
遅刻しそうなとこを助けてあげた人に、なにか一言でも無いのかなぁ?」
「…本当に申し訳ございませんでした。そして、とてつもなく感謝しております…。」
「うむっ、いいだろう。」
そう言うと澪は満足そうな顔で頷いた。
こいつ…水無月 澪(みなづき みお)は俺の幼なじみで同級生である。
ついでに家も真向かいなんて困ったもんだ。
ちなみに俺、木瀬 郁也(きせ いくや)の母親とこいつの母親も幼なじみである。
幼なじみというのはいつも一緒にいなきゃいけないもんなのか…?
「なぁーにタラタラ歩いてんの。急がないと、本気で遅刻しちゃうよ?」
「わぁかったよ、うるさいな。 まったくいつからそんなに口煩くなったんだか。」
「私が口煩くなったのは誰のせいだと思ってるんですかー。
郁が毎朝毎朝起きないから、おばさんに頼まれて起こしに行ってやってんのに。
そして仕方なく一緒に学校に行ってやってんのに。」
「あぁ、もうハイハイ、わかったよ。ほら学校行くぞ。」
「なに、その態度?
あー、いーよぉ?明日から起こしてやんないから。」
「マジすんませんでした澪さん!!だから明日からもお願いします!!」
とまぁこんな感じで、俺はいつも通りの朝を過ごすのであった―――
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