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「お父さん…?」
お父さんの顔は…
今までに見た事がない
悲しい顔だった。
「お前を、どんな思いで母さんが産んだと思ってるんだ?」
「…だって。…お母さん、私に何もしてくれなかったじゃん。私、お母さんから名前を呼んでもらった事もないし、お母さんと買い物に行ったことがない。お母さんのぬくもりを感じて育ってない…。」
お父さんは
少し間をあけて
「想羅。…海に行こうか?よく小さい頃に遊びに行った。」
コクン…
私は自分自身少し冷静に
なるためにも
お父さんに連れられて、以前お父さんとよく遊んだ海に行った。
「ここにくるのも、7年ぶりか…。」
小さい頃は
お父さんが仕事の休みの日はいつもここに遊びに連れて来てくれた。
「…うん。…お父さん。」
「何だ?」
「お母さんって、どんな人だった。?」
お父さんは、微笑んだまま答えてくれなかった。
「お父さん…。」
「うん?」
「私ね、小さい頃からお母さんがいる家庭がずっと羨ましかったんだ。…だから私、自分のお母さん嫌いだったの。…クラスメートの子たちはお母さんと2人で買い物に行ったり、ご飯食べに行ったりして。でも私はそんなのできないから…
だからお母さん恨んじゃったんだ。何で私を置いて死んだのって、私お母さんと買い物にも行きたかったんだよって…。」
私は自分が今まで感じて
きた事を始めてお父さんに言った。
「ごめんな。」
あまりにも
唐突に言ってきたので
ビックリした。
「えっ。」
「想羅がそんな風に思ってたなんてきずかなくて。」
「…お父さんが悪いわけじゃないよ…。ねぇ…」
「何だ?」
「私お母さんの事何もしらない。…この際だから私のお母さんってどんな人だったか教えてくれない?」
お父さんは優しく微笑んでポツポツと話してくれた。
「母さんと会ったのは、ちょうど想羅と同じ年の頃だったよ。」
「えっ!?そうなの?」
そう言ってお父さんはお母さんとの思い出を話始めた。
私は初めて聞くお母さんの話に耳を傾けた。
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