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しばらくして大樹の根元に着いたノアは信じられないものを目にしていた。
傷だらけの少女が倒れていたのだ。
「おいっ!大丈夫か!?
落ち着け!落ち着いてタイムマシーンを…」
混乱して訳のわからない事を言うノア。
「…………うっ…うぅ」
少女の声を聞いて正気に戻ったノアは手際よく手当てを始める。
魔法が使えないということは傷の治癒も出来ない。
そんなノアだからこその特技だった。
一通り手当てを終えて自分の上着を少女にかけて水を探しにどこかへとノアは歩いていった。
不用心にも得物と荷物を置いて。
「キズフサギがあれば便利なんだけどなぁ」
独り言を呟き辺りを見回す。
キズフサギとは多年草でどこにでも生える魔草である。
葉の部分を潰して絞った汁を傷口に塗るとたちまち傷が塞ぐという代物だ。
ただし凄く染みる。
経験者曰く「塩と醤油をすりこんだ方がマシ」とのこと。
「おっ、あったあった」
笑顔で拷問器具(キズフサギ)を摘むノアだった。
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