82人が本棚に入れています
本棚に追加
魔神が手をかざすと一振りの剣がでてきた。
それは剣としては細く、湾曲している。
刃渡りも長くない。
鞘に納められたそれはフワフワと宙に浮いている。
「武器をくれるのはありがたいけど、あの短時間で俺の何を知って、何を見た?」
『君の一生を見たの。苦労したのね。』
「同情するなら魔力くれ。
それよりこれ何?剣にしちゃ細いしレイピアとは違うよな」
『よくぞ聞いてくれた!
これは忍刀・影縫いだよ』
「忍刀って何?食べれるの?」
『忍刀ってのは人間界の東の国の武器でね、暗殺や潜入なんかの隠密行動を任務とする人達が好んで使う武器なんだよ』
「へぇー。でも何で忍刀が俺と合ってるんだ?」
『君の戦闘スタイルは縦横無尽に駆け回って相手を翻弄する感じでしょ?それにその身体強化と反応速度も武器になると思ったんだよね』
―――この人は見た目と違って凄いかもしれない。過去を一度見ただけで俺のスタイルを見抜いた。
ノアの心の呟きは当然魔神にはわかっている訳で。
『やっとお姉さんのすごさが分かった?
でもその忍刀もお姉さんの次くらいに凄いんだよ?』
そう言われたノアは鞘から影縫いを抜き放った。
最初のコメントを投稿しよう!