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まず目を引くのは黒い刀身。
薄暗い洞穴の中でも黒い輝きを放っている。
そして刃の根元辺りに楕円のような穴が空いている。
まるで曲がった縫い針に柄をつけたようだ。
鍔も最低限の大きさで手と同化するような握り心地。
まさに名刀と呼ばれる一振りだった。
『すごいでしょ?影縫いの能力は影を操ることなの。
ちょっと自分の影に影縫いを刺してすぐ抜いてみて』
言われた通りにすると自分の影から黒いロープのようなものが影縫まで伸びている。
『それは君の影よ。
それを使って相手を拘束してもいいし、地面なんかに縫い付けてもいいし。いくらでも応用効くよ』
「なるほど……これは悪い事が出来そうだ」
『あ、でも君は魔力がない分体力を影の持続に使うからね。スタミナ切れに気をつけて。影の長さは体力の限り無限に伸びるから』
「ありがとう。じゃ、することもしたし、そろそろ行くとするか」
『お姉さんはまた寝るわ。
よい旅を』
ノアは手を振って洞穴を後にした。
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