俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

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「よ~~~~う!優樹~!真琴~!」 道路の向かい側で大きく手を振って俺たちの名前を呼ぶ悟郎。 俺たちはそれをスルーして先に進む。 「いや!?待てよ!?」 全力で走ってきて俺たちの肩を掴む悟郎。 その目は若干、涙目だ。 「あっ、ごめん気づかなかった」 「見てただろ!?お前と真琴、バッチリ俺と目があったよな!?」 「お前……目あったっけ?」 「それは無茶振り過ぎる!!」 「ちぇっ、面白ろおかしく返してくれると思ったのになー」 「えぇっ!?」 こんな感じの俺たちの会話を見かねてか、真琴が『はぁ』とため息をついて話に入ってくる。 「まぁ待て中二病ドM変態キリン族冷静になれ」 「お前の一言で冷静さなんて吹き飛んだ!」 「大丈夫、お前だっていつかいい女の子と出会うさ」 「おっ……おおう……なんだ急に……」 「お前は偶然、誰もいないと言われている図書室に行った。 しかしそこは実は無人ではなかった。 そこには可愛い草食系の女の子がいた。 その彼女にお前は惹かれ、よくその図書室に顔を出すようになる。 最初は彼女はお前に萎縮して話をしてもオドオドしていたが、数を重ねるとだんだんと彼女もお前に心を開いていく……」 「おっ……おぉ!! それはまさに俺の理想!!」 「そして出会ってから約3ヶ月後…… お前はついに告白する! 『ずっと好きでした!つきあってください!』 彼女は…… ……ゆっくりと頷いた」 「キターーーーーー!!」 「……数日後。 お前と彼女はふたり手を繋いで登校していた」 「俺の夢!!」 「そんなふたりを見つけた兄貴はお前の肩を叩き『やったな!おい!』と祝福する。 お前は『うるせーよ』とか言って兄貴とじゃれ合う。そんな様子を彼女は温かく見守っていた……」 「やっべぇ!最高だ!!」 「……それが彼女の新しい恋の始まりだった……」 「キサマぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 悟郎が血の涙を流しながら俺の胸ぐらに掴みかかってきた……ってえぇっ!?
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