俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

16/88
前へ
/714ページ
次へ
「真琴も来てよ」 信也が真琴を手招きする。 真琴はマジかよ……と言いながら立ち上がり美咲たちの前に立ちふさがる。 「優樹、早く行くんだ」 「俺たちの事は気にするな!」 「あぁ!その代わり後で借りは返して貰うからな!」 「……早く行け。兄貴」 「お、お前ら……」 目の奥に何かがこみ上げてくるのを感じた。 お前らってヤツは…… 「……茶番はいいから早く行くわよ」 「そこはノろうぜ?幸村……」 この娘は場に流されないみたいです。 不機嫌な顔でさっさとしろと促してくるのだが、彼女はリアルに命がかかっているので仕方がないかもしれない。 「よ~し!じゃあ任せた!」 「「おう!!」」 龍と悟郎が叫んだ。 真琴と信也はこのテンションにもう疲れたようだったが、ちゃんと進路を塞いでいた。 ちなみに俺はどちらかというと テンションは高くなりやすい方なので そのままの高いテンションでいた。 「幸村!幸村!パンはパンでも食べられないパンはなんだ?」 俺はテンション高めに 幸村にくだらないナゾナゾを出しながら、 ドアを開けて廊下に出た。 「……伊東 悟郎が触ったパン」 幸村はそう答えながら 俺の後を追って廊下に出て、 ドアを≪パタン!≫と閉めた。 『うぉぉぉぉぉっ!!悟郎!!? なんか首から凄まじい量の血が!? ナイフか!? 言葉のナイフで切られたのか!? しっかりしろぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 悟郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』 俺たちが出て行った教室から 叫び声があがった。 ……あれ?おかしいな? 悟郎が不憫すぎるのかな? ……目から海水が止まらないや…… テンションは鎮火された。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7526人が本棚に入れています
本棚に追加