俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

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幸村の精神テロにより遅れた時間約20分。 みんな精神力が弱すぎる。 バハラグをやれバハラグを あの精神テロは本当人を殺せるぜ? ……と、わかる人のほとんどいない話はほどほどにしてっと。 ただ今帰宅中。 ……というかもう家の前だ。 帰り道の道中は 俺と瑠奈がやたらと幸村とコミニケーションをとろうとし、石村と玉野はふたり仲良く話しながらという5人でというより3人と2人というグループで帰っていた。 「ふ~ん。ここが山口家…… 世界レベルで大きくなってきた会社の副社長の自宅にしたら普通の家ね?」 俺の家の前で幸村が呟く。 「まぁ、思いでの詰まった家だしな。 父さんも母さんも手放したがらないんだ。 俺も気に入ってるし、全然OKみたいな?」 「空き巣とかに狙われるわよ?」 「そうか?狙われる気がしねぇ。 つーか狙う奴の気がしれねぇ。 つーか狙った奴の命が心配だ」 見なくても銃弾を受け止められる父に、 声だけで人の精神を崩壊させ、 銃弾を振動で粉々にする母。 ……軍レベルで勝てる気がしねぇ。 「つーか何?心配してくれるの?」 「死ね」 なんていうのほほんとした会話をしながら、 家の鍵を開けて扉を開ける。 「「優樹ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」」 と扉を開けると同時に むさ苦しいふたりの男の声と共に 体に何ががぶつかってきた。 視線を下げると俺に抱きつく なぜか涙目の悟郎と龍を確認できた。 そして俺は顔を上げた。 廊下の向こう、扉の空いたリビングでは やたらとおどおどした美咲が立っていた。 そして俺は瞬時に全てを理解した。 男たちで鍋の準備をしているところに 美咲とエリナがやって来て、 エリナと信也、又はそこに真琴が加わるくらいのメンバー間で気まずい空気になったのだろう。 そしてそれを悟郎と龍は必死で和ませようとしていたのだろう。 「「愛してる……優樹……」」 ふたりが俺の胸の中で呟いた。 「あぁ……俺もだよ…… ありがとうな?悟郎……龍……」 俺は悟郎と龍の背中に手を回した。 『『『『なにコレ気持ち悪い……』』』』 その姿を後ろの4人が冷ややかな目で見ていた。
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