俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

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俺はみんなを観察する。 真琴の器の中には2、3個の肉。 ……あっ、瑠奈にあげた。 真琴が2個で瑠奈が1個になった。 「あっ、ありがとう」 「ん」 その一帯だけ鍋の熱気とは違う熱に包まれていた。 美咲はひとつも取れなかったみたいでオドオドしている。 悟郎は真琴に熱々の豆腐を顔に当てられて幸せそうな顔をしている。 信也は元々肉はあまり食べないので野菜だけ。 玉野の皿には2、3個。 問題はその他だ。 龍の皿には大量の肉が積み重なっている。 ……俺にドヤ顔するのやめろ。 そして意外な敵、石村とエリナ。 まさかの龍に負けないレベルに肉を確保していた。 俺は見ていた。 龍とエリナと石村が俺が鍋を開けた瞬間に見えるか見えないかギリギリのスピードで肉をすくい上げたのを…… そして問題は幸村だ。 一番この鍋を楽しみにしていた幸村。 その彼女の皿の中には肉が一枚もない。 肉を取ろうとしたまま固まり、ダランと項垂れ、不気味な笑みを浮かべている。 俺は察した…… これは……戦争だ…… 鍋に残った野菜や豆腐などを処理し、 野菜、椎茸、白滝、豆腐、そして肉を鍋の中に入れて蓋をする。 鍋が煮えるまでの時間、 俺たちは心理戦を繰り広げていた。 『龍とエリナと石村が強いな。 この三人が肉をほとんど持っていってしまう。俺のやるべき事はコイツらの暴挙を止める事だ。 そのためには今回は鍋の蓋を開けるわけにはいかないな……』 『あ~、幼女抱きしめたい……』 『次は真琴、なに来るかな!? 白滝を頭からぶっかけるとかありだと思います!気づいて!真琴!届け!この思い!』 繰り広げていたっていったら 繰り広げてたんだい!
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