俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

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思考を巡らせること数分…… 鍋はいい感じにコトコトいってきた。 闘いの時はすぐそこまで来ていた。 「「「……………」」」 高まる緊張感からなる沈黙。 誰も動こうとしない。 いや、動いたら負けなのだ。 『真琴、瑠奈』 俺は真琴と瑠奈に アイコンタクトで協力を仰ぐ。 『了解』『うん。わかった』 そして交渉がまとまった。 真琴が口を開く。 「おい、聞け。彼女のいない男たち」 真琴の呼びかけには誰も反応しなかった。 皆が鍋に集中し、真琴の言葉を受け流そうとする。 しかし真琴は構わず続ける。 「彼女がいない奴に よくあることを教えてやるよ。 自分だって他の女好きになった事があるくせに、『女は処女じゃないと無理』とか『向こうもつきあった事がない娘じゃないと無理』とか言う、相手の過去の恋愛にケチをつける器の小さい男。 俺なら瑠奈が百人とつきあって百人とヤってたとしても余裕で好きなままだったね。 他にも『おしゃれに金を使う位ならその分遊ぶ』とか言う奴、 いつもつきあう妄想ばかりで、それに向けてなにも行動しようとしない奴、 清楚系好きなんて言ってる奴。 誰かに好かれようとおしゃれを頑張ったりしてる女の子の方がよっぽど心がキレイだと知れ。俺や元からスペックの高い瑠奈ですらお互い好かれようと頑張った。 そしてトータルして言える事は、 行動も起こさないくせに自分のスペックに見合わない高望みをする男。 つまりお前たちのことだ。 はっきり言ってやるよ…… お前たちに彼女なんてできるわけねぇだろ! バーーーーーーーーーーーーーカ!」 「「「ぐべらはっ!?」」」 悟郎、龍、石村が精神的ダメージにより、 腹に一発食らったかのような衝撃を受ける。 その隙をついて瑠奈が鍋の蓋を開ける! そして俺が鍋の肉を根こそぎいただき、 真琴と瑠奈と分け合う! 「ぐはっ!?」 ……はずだったのだが真琴の精神攻撃は『じしん』や『なみのり』のように味方の俺にも襲いかかり、俺も出遅れてしまった。 「兄貴役にたたねぇな!」 真琴の言葉に言い返す言葉は見つからなかった。
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