俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

74/88
前へ
/714ページ
次へ
『真琴きゅ~ん!こっち見て~!』 テレビから母さんの声が響いた。 そちらに目を向けると、テレビには幼稚園の頃の真琴がドアップで映し出されていた。 部屋にいる全員の視線がそっちに向く。 『真琴きゅ~ん!明日から幼稚園だね~! よしよ~し!』 と画面が不規則に揺れ、 画面に映る真琴の頭を綺麗な手が撫でる。 『おふ……お母さんやめてよ~!』 お袋と言いかけた子どもの真琴。 しかしそれ以前に……可愛い…… 全然イケる。 「真琴可愛い~!」 瑠奈の目がキラキラしている。 他の連中もニヤニヤニヤニヤ…… 真琴は不機嫌そうだ。 ざまぁみろ!! 『さて!じゃあ次は優樹きゅ~ん! こっち見て~!』 浮かれに浮かれまくっている母さんが ついに俺の名前を呼んだ。 マズイ!このままじゃマジでマズイ! 俺はなんとか抜け出してテレビを消そうと足掻くが、なんせ俺を押さえつけているのは4人。抜け出す事ができない。 カメラが幼稚園児の俺を映す。 黒いビニール袋に穴を開けて、 ポンチョのようにそれを被って 後ろを向いている俺を。 『俺を優樹なんて呼ばないでいただきたい』 そう言って幼い俺は マントをヒラっとして振り返る。 や……やめろ…… 『優樹というのは世を忍ぶ仮の名…… 俺は"闇の眷族"。 天に反逆し地に落ちた、 大天使の生まれ変わり。 ルシファー=ゼノン・ローレシア!!』 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!」
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7526人が本棚に入れています
本棚に追加