俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

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・ ・ ・ 嵐の後の静けさと言おうか。 みんなが帰った後の俺たちの家はまさにそういった感じだった。 俺と真琴は静まり返った部屋の片づけをサボってダラーンとしていた。余韻を楽しんでいるのだ。 俺はシンクに山のように積み重なっている皿と、机に置きっ放しの鍋を見てため息をつく。 ……メンドくせえ。 やっぱ手伝って帰って貰った方が良かったな。気を使って帰すんじゃなかった…… 真琴も横目で洗い物を見てため息をつく。 「「はぁ~」」 誰かやってくんねぇかな~ ≪ガチャ!≫ 家のドアが急に開いた。 誰か手伝いに来てくれたのか? でも親しき中にも礼儀ありだろ。 インターホン押せよ。 洗い物してくれたら許そう。 俺と真琴は期待の目を リビングのドアに向ける。 ≪ダダダ……ガチャ!≫ 「たっだいま~! 久しぶりに日本に帰って来たべ!」 「お肉届いた~? 今日は宴会だ~!」 父さんと泉を抱いた母さんが テンション高く帰って来た。 父さんと母さんは世界最高峰の企業に成長中の企業の副社長と部長で世界中を飛び回っている。 そのため家に帰って来るのは稀なのだ。いつもは連絡して帰って来るのだが、今回はサプライズで帰って来るのを黙っていたみたいだ。 そして妹の泉。 生後5ヶ月の俺たちの妹で流石に俺たちの元に置いていけないので父さんと母さんが連れて行っている。 約1ヶ月ぶりの再会。 いつもならテンション高く迎える俺たちだが、今日は違った。 父さんと母さんは俺たちの異変に気づいたようだった。そして机の上を確認し、全てを理解した。 「「そんな……」」 父さんはその場でうつ伏せになり、 母さんは泉を抱いたまま膝をついた。 「「ごめんなさぁぁぁぁぁぁい!!」」 俺も真琴も全力で謝った。
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