俺の日常の中でもちょっと特殊だった一日

84/88
前へ
/714ページ
次へ
お腹はいっぱいだったはずなのに、 俺も真琴もまだまだ食べる事ができた。 不思議なものだ。 「父さんと母さんはいつまで日本にいるの?」 俺は父さんと母さんが忙しいのは理解してるし、家にいられないのは仕方ないと思っている。 でも……やっぱり本心は ずっとそばにいて欲しい。 母さんに朝起こして貰いたいし、 家族みんなでご飯を食べたいし、 学校に行く時は見送って貰いたい。 学校から帰ってきたら「おかえり」と言って貰いたい。 俺はほんのちょっとの 期待を込めて父さんに聞いた。 『もう落ち着いたから家にいられるよ』 ……って言って欲しい。 「ごめん…… 明日の昼にはまた空港だ」 父さんも母さんも俺たちに本当に申し訳なく思っているいる様子で、ちょっと悲しそうな顔をしていた。 俺は「そっか、忙しすぎッスね~」と 自分の心を殺して言った。 しばらく食卓を沈黙が包む。 仕方ないよな…… 会社を創立した時からの 父さんたちの夢だもんな…… だから俺は応援しよう。 もう少しの辛抱だ。 だから今はこの父さん達といる この時間を大切にしよう。 父さんに言っておきたいこと…… 言っとこう。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7526人が本棚に入れています
本棚に追加