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一時間目の授業が終わり、
多数の生徒が幸村のまわりに集まってくる。
やっぱりみんな仲良くはなりたいみたいだ。
「幸村さん彼氏はいるの~?」
「…………」
「好きなミュージシャンは誰?」
「…………」
「ぶ、部活とかやってるの?」
「……うるさい」
その一言で場の空気が完全に凍りつく。
「ご……ごめんね?幸村さん」
「ほ、ほら、行こ?」
そしてまわりに誰もいなくなった。
みんなもはや悪口さえも言わない。
そのくらいショックだったのだ。
……じゃあ、そろそろ俺が……
「……おい、まさかとは思うけど、アレに話しかけるつもりじゃないだろな?」
「さすがは真琴。よくわかってんじゃん」
「お願いだからやめてくれ。
アレは本当にやめてくれ。お願いだから」
「……お前『アレ』って……」
「だいたいなんて話しかけんだよ?」
「……好きな食べ物はなんですか?」
「お前……」
「いや!?冗談だからな!?」
なんて話していると横にいる悟郎が
「ふふふ……」不敵に笑い始めた。
「「きめえ」」
「お前ら酷いな!?
……まぁ見てなって!俺が手本を見せてやるよ!」
「それができたなら今ごろお前には彼女がいるだろ?」
真琴は痛いところを突く。
悟郎も心なしか苦しそうだ。
楽しそうだから俺も参加しよう。
「まぁ見てなって!俺がギャルゲー、エロゲーで培ってきた女の子の扱い方を見せてやるよ!」
「だからそれが今まで成功したことがないんだろ?」
「ヒロインにひたすら引っ付いていけば大丈夫だって!失敗したらロードすればいい!」
「いや、人生はやり直しきかねぇよ?」
「じゃあ!いってきます!」
「いくのかよ!?」
俺が驚いているのとは裏腹に、
真琴は「いってらっさーい」と笑っていた。
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