7526人が本棚に入れています
本棚に追加
・
・
・
≪その頃、自宅では……≫
「あれ?優樹のヤツ弁当忘れてやがる」
「あっ、ホントだ。届けて来て?」
「なんのためらいもなく旦那をパシリに使うのなお前……」
父はそう言いながらも
優樹の弁当箱を包む風呂敷を掴んだ。
そしてそれを持ってリビングから出ようと動き出した瞬間、その弁当箱は一瞬にして姿を消した。
「…………」
「どうしたの?
早く行ってきてよ?」
父は母……いや、母に抱かれている泉に視線を向ける。
それに気づいた泉は
父に向けてニコッと笑った。
「なぁ」
「ん?なに?」
「愛してる」
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、
にゃによ!急に!」
「だから俺はお前に嘘はつかない。
だから聞いてくれ」
「…………なに?4人目が欲しい?
なんなら今からでも……」
「よし、じゃあ泉をしばらく隣の高木さんちに預けてくる。その間にお前は準備だけしてシャツ一枚だけになってベットへGOな。あっ、今日はあえての俺たちの寝室じゃなくて真琴か優樹の部屋でも……って違う違う!話を脱線させるな!」
「線路に石置いたのは私だけど、
その後車道走って全力で突っ切っていったのはあんたよ?
……んで?違うならなに?」
「実はな……」
「…………」
「泉は……超能力者だ」
母はまるで頭痛がするかのように頭を抑えた。
「はいはい、そうですねー」
「お前!信じてないな!?
せっかくいつもと違って冷静に言ったっていうのに……」
「いいから弁当持って行って」
「いや!だからその弁当が今消えて……」
「行って」
「いやだから……」
「イケ……」
「……はい」
母の言葉に逆らえず、
父はなにも持たずにリビングを出て行った。
最初のコメントを投稿しよう!