突撃!あの子んち!

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父がいなくなった後、 母は泉をベビーベットに乗せた。 そして両手にポケットに入っていた種類の違うペンを持って泉に話かける。 「泉~?このペンを入れ替えてみて~?」 すると泉は笑顔で「あ~っ!」と言って、 母の方に手を伸ばす。 すると母の両手に持っていたペンはいつの間にか入れ替わっていた。 「うわ~マジだよ…… あいつが真剣に言ってるからもしかしてとは思ったけどマジだったよ……」 母は頭を抑えた。 しかしすぐに顔を上げた。 「まっ、いっか! あいつをいじるネタができたし!」 と誰に向けてでもなく ニコニコしながら言う。 「あ~、あいつのイジメられてる時の表情ゾクゾクするわ~」 母のその時の表情に 赤ん坊であるはずの泉は引いていた。 そんな泉に気づかない母は、 ふとなにかを思い出したかのように泉をベビーベットから抱きかかえる。 そしてそのまま泉を連れて家を後にした。 「あっ、高木さん?すみませ~ん山口です~ …………あっ、お久しぶりです~! …………あっ、いや、ちょっとしたらまた日本から飛び立つんですよ~ えぇ大変ですホント。 あの~、私これからちょっと用事があるんで1時間ほどだけ泉預かって貰ってていいですか?」
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