突撃!あの子んち!

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≪優樹視点≫ 保健室のドアを乱暴に開け、 急いでその中に入る。 「先生!急病人です!」 今まで呑気に椅子に座っていた、 スレンダーな茶髪の美女が急いで駆けつけて来る。 「真琴くん!大丈夫か!?」 「ぜぇーひゅーぜぇーひゅー」 ……真琴の方に。 「先生!急病人は俺で 真琴は付き添いです!」 「えぇっ!?」 驚き目を見開くこの人は 保健室の織田先生だ。 『織田』という名前でピーンとくる人間もいるかもしれないが、実は信也の母親である。 信也の家に遊びに行った時に先生と出会って度肝を抜かしたのは記憶に新しい。 「どう見たって真琴くんが病人でしょ?」 と俺の肩を借りてなんとか立っている真琴を見ながら俺に話しかける織田先生。 その顔は信也に瓜二つで、 信也が女装したらこんな感じになるんじゃね?っていうレベルだ。 信也は母親似だな。 「率直に言うと学校サボりたいです! 書類書いてください!」 「率直にとんでもない事頼むわね。 ……う~ん……そうね~」 と、先生は俺の全身を 舐め回すように見始めた。 俺を品定めするかのような視線。 正直、これには慣れているんだけど、 でもなんか今回は違った。 なんとなく寒気がして、 俺の体は勝手に震え始めた。 「さすがはあいつの息子だな…… よく似てる……」 「えっ?父さんを知ってるんですか?」 「知ってるも何も昔好きだった男よ」 俺と真琴の絶叫が 保健室の中に響いた。
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