突撃!あの子んち!

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「交通費の問題なら、前の学校の 近くに住めばよかったんじゃね? この家も借家だろ?」 幸村は鼻でため息をつき、 部屋のある一点を指差した。 ずっと気になってはいたが、 触れることができなかった物…… ……仏壇。 仏壇には中年の男性の写真が飾られていた。 多分あれは…… 「……私の父。仕事は化学者で 優しい父親だった。 でも父の研究以上の物が発表されてから 研究は頓挫。部下達は離れていって、 研究のスポンサーも離れて行った。 残ったのは借金だけだった。 ……まぁ、地獄だったわね」 幸村は眈々と物を話す。 まるで感情が無いように。 「その父は死んだわ。 保険金は借金返済に使われた。 その後は離婚した母に引き取られた。 その母もまぁ人間のクズで そもそも育児放棄が原因で父と別れていた。 今もそう。 私は完全に放置。 目障りだからって家から追い出された。 だから私は一人で生活している」 「……つまりお前がこの家にいるのは 寂しかったからって事か?」
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