突撃!あの子んち!

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「なぁ、幸村?」 俺は幸村と向き合った。 幸村は「……なに?」と首を横に倒した。 「俺と正式に友達になってくれねぇか?」 「……西園寺さんの時もそうだったけど、 そういうのって『友達になって?』 って言われて承諾したら友達になる っていうのは違うと思うんだけど?」 「まぁ、聞けよ。 その代わり条件が二つ。 まずひとつはこれから毎日、 昼ごはんの弁当を俺が作ってやる。 もう一つはお前はこれから 俺の事を『優樹』と呼ぶこと。 それだけだ」 完全な偽善だ。 幸村に寂しい思いをして欲しく無い。 幸村の生活環境を改善してあげたい。 そういう気持ちから来る偽善。 幸村にとってはいい迷惑かもしれない。 でも俺は引き下がれなかった。 放っておけなかった。 「さっき言った事が聞こえなかったの? 中二病で腐り落ちた脳みそは大変ね。 それに友達に条件とか普通ないでしょ? まぁそうじゃ無くてもなる気はないけど」 幸村は心底面倒くさそうだ。 しかし俺はそんな事ではめげない。 ここは根気の勝負だ。 「まぁまぁ、条件つき友達から始まる 本当の友達だってあるかもだろ?」 「ドラマだけよ」 「それに……昼飯タダで食えるんだぜ?」 「…………」 さっきの質問はバッサリ切り捨てたのに、 今回は幸村も悩み込んだ。 この女……飯に弱い!
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