突撃!あの子んち!

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「すまない。 少し取り乱してしまったようだ」 俺とした事が…… 優樹くん超紳士と言われてきたこの俺が…… なんつーか……グレてから なんかの枷が外れた気がする。 外しちゃいけない枷が外れた気がする。 「……もういい。寝る」 幸村は布団を被った。 ケータイで時間を確認すると もう夜の9時だ。 俺もそろそろ帰らないとな…… 「んじゃ、そろそろ俺も帰るわ。 体、大事にしろよ?病人なんだから」 「アンタはその病人を労われ」 ……確かに。 「悪かった。……じゃあ本当に帰るわ」 俺は家を出ようと玄関に向かった。 「……ねぇ?」 そんな俺を幸村は呼び止めた。 今更だが、あんまり大声を出させるのも アレなのでUターンして幸村の側に座り、 幸村の話を聞く体制をとる。 「寝れる気がしない。 だから寝るまでアンタのつまらない話を 授業中の先生の下らない話みたいに 子守唄代わりに適当に喋って?」 「……ごめん。面白い話しかない」 「大丈夫。気のせいよ」 「おいコラ」 「……早くしろ。 寝るまでよ?寝るまで話し続けるのよ?」 「……ん。了解」 人の心がわかる方では無い俺でも、 今回はなんとなく幸村の気持ちがわかった。 ……ったく。 心細いなら素直に言えよな。
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