突撃!あの子んち!

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「待たせてすみません」 少しするとバックに花が映りそうな程優雅に、伊集院さんが教室に入って来た。 「はい、アウト」 信也が教室に入って来た伊集院さんに 下に向けたグーサインを突きつけて言う。 「人を呼んでおいて待たせたんだ。 そこは『お待たせして申し訳ありませんでした』……でしょ?社会の常識だよ?」 「そもそも人を呼んだのなら その人を待たせないようにするのが 礼儀ってものでしょう?お嬢様(馬)? 本当にお願いしますよ?お嬢様(鹿)? 全く。これだから親の七光りは……」 真琴まで参戦し始めた。 伊集院さんはなんとか笑顔を保っているが、 額に血管が浮き出ている。 「それにその様子じゃ急いだ様子も無し。 全く。どんな育てられ方をしてきたのか」 「まぁまぁ信也くん。それは仕方ないよ。 だってこのお嬢様(脳味噌プリン)は 私達庶民の事なんて、 ただの石ころにしか見えないんですよ? そんな腐り切った性根の女性に…… あっ、しまった!ホンネが出ちゃったー! 私ってばうっかり者!テヘペロ☆」 と、後頭部に手を当て、舌を出して、 可愛らしくウインクする真琴。 本当に人の神経を逆撫でする天才だと思う。 その証拠に伊集院さんの笑顔は だんだん黒くなっていき、 額の血管がひとつ増えていた。 「ははは…… お待たせして大変申し訳ありませんでした。 ここで提案なのですが、5万出しますので、 そのツラ思いっきりブン殴っても よろしいでしょうか~?」 「えっ?殴って貰える上に5万貰えんの!? やる!俺!そのバイト立候補します!」 「貴方は黙ってなさい!」 ……怒られた。
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