バレンタインデーってなんだかんだいって楽しみだよね?

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真琴と瑠奈は隣りに並んで歩いていた。 真琴は歩くスピードが早い人間なので 多分瑠奈に歩幅を合わせているのだろう。 「ねぇ真琴?」 「……ん?なに?」 瑠奈の呼びかけに 真琴は顔を瑠奈の方に向けて返事をした。 瑠奈はカバンを探って 綺麗に包装された箱を取り出す。 「はい、バレンタインデーの プレゼント……でいいのかな? とりあえずチョコレート」 「……ん。ありがとう」 真琴は瑠奈と反対側を向きながら チョコレートを受け取った。 それを見ながら瑠奈はクスクスと笑う。 あれ?軽く嫉妬するくらい甘いけど、 予想してたほどじゃねぇな? いや、まぁ充分ぶん殴りたいけど。 「開けてみて?」 「えっ?いや……家に帰って慎重に 包み紙はがして綺麗に折りたたんで、 チョコレート一個は冷凍庫に保存して、 全部食べ終わったあとの箱は小物入れに したいと思うんだが?」 「……うん。ありがと。 そこまで喜んで貰えてうれしい…… でも開けてみて?」 そう言って瑠奈は辺りを見回す。 俺と悟郎は急いで首を引っ込め身を隠した。 「ほら!早く早く~!」 瑠奈は辺りに誰もいないのを 確認すると真琴を急かした。 真琴は急かされるまま 包装紙を丁寧に剥がして、 綺麗に折りたたんでカバンに入れ、 箱を開けた。 ……クソッ!中がよく見えない!
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