バレンタインデーってなんだかんだいって楽しみだよね?

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『あっ、優樹くん。 はい、これ義理チョコ。 お返し期待してるから~』 『副会長~!これ、受け取ってください! ……きゃ~!渡しちゃった! 渡しちゃったよ~!私、大丈夫だった!? ねぇ!?どこか変じゃ…………』 『山口!……これ、いつものお礼…… 勘違いするなよ!?義理だからな!?』 ……という感じで義理チョコとやらを受け取り続けながら廊下を歩き、 『あっ、優樹く~ん。 これ、義理チョコ~ お返し期待してるから~』 『はい!クラスの男子! 義理だけどクッキー恵んであげる。 ……あっ、優樹はこれ。 ほら、いつもお世話になってるから…… はい、チョコレート。 お返しちゃんとしてよね~?』 教室に入ってからも こんな感じのイベントをこなして、 やっと落ち着いた。 机の中を平常心装いながら探って ガッカリしている悟郎の机に座る。 悟郎の負のオーラが非常に心地いい。 なんか安心する。 「今年もお前、 チョコは義理と親とお姉さんだけか?」 「やめろ。うまく笑えない。 俺の家は仏教徒だから 横文字のイベントに参加しないだけだ」 「仏教徒の悟郎くんの家のお姉さんは 彼氏とそういうイベントを楽しんでそうだけどな?」 「いやいや、姉ちゃんバレンタインデーなんかよく沈んで帰ってくるし、ホワイトデーに何かを貰って来たことねーし、誕生日とクリスマスと年末はいつも家族と一緒だぜ?」 「えっ?でもお前の姉ちゃん、 彼氏いるって言ってなかった?」 「……見栄を張りたくなる気持ちがよくわかるから気づかないフリしてやってるけど…… ……正直、聞いてて心が痛むよな?」 悟郎は先ほど配っていたクッキーを 口に放り込みながら苦笑いした。 ……いいな~俺もクッキーがよかったな~
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