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「チッ!……じゃあコイツにチョコを渡す事はできなさそうね……」
「だな」
どうでもいいが幸村。
今の舌打ち、憎しみの籠った
可愛げの欠片も無いマジの舌打ちだったな。
まぁそこが幸村らしいが。
「仕方ない。次に行くわ」
「もうすぐホームルーム始まるぞ?
また次の休み時間にでもやれよ?」
「……仕方ない。帰るわ」
「その前に瑠奈の様子見て行かね?」
「……そうね」
非常に面倒くさそうに、
まぁ一応『友達』って事になってるんだし
仕方ないな……といった感じで
幸村が俺に同意する。
まだ幸村と瑠奈には距離があるな……
『見て見て!西園寺さん凄く綺麗!』
『わ~!ホントだ~!』
『……軽くムカつくな~』
教室の中で女子達が瑠奈の話をしていた。
俺たちは理由も無く、なんと無く扉の陰に隠れて瑠奈の方を見た。
窓際の席で日差しを浴びながら
机に肘をつき、空を見つめている瑠奈は
一動作ごとに周りに光子を振り撒き、
まるで天からの贈り物のように思わされた。
そしてある事情から得た大人の色気。
なるほど、男子が心奪われるわけだ。
『やべ~な……』
『あぁ……なんかこう……
あの人だけ別の空間にいるみたいだ』
男子の会話に思わず頷く。
そう。確かに今の瑠奈は浮世離れしすぎていて別の世界の人間みたいだ。
あの幸村でさえ、
瑠奈から目を離せないでいる。
やっぱスゲーな。あいつのカリスマ性。
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