バレンタインデーってなんだかんだいって楽しみだよね?

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「すみません。料理とか下手で……」 「いや、むしろ最高だ! 俺、クッキー食いたかったんだ!」 「ふふふ……」 エリナが微笑む。 「優しいですね。優樹さんは」 「いや、嘘偽り無いんだけどな」 クッキー好きだし。 ビターチョコクッキーとか最高だし。 エリナの気持ちが嬉しいし。 しかしエリナが勇気を出して渡してくれた このクッキーを受け取るという事は つまり彼女の気持ちになんらかの答えを 示さなくてはならないということだ。 正直、まだ答えは見つからない…… でも、エリナの勇気に少しは答えないとな… 「あのさ、エリナ…」 「あっ、大丈夫。気にしないで下さい。 これは私が勝手に渡した物ですから。 まぁ…そうですね…これは私を知る 参考にでもして下さい」 俺の言おうとしている事を エリナは理解しているようだった。 正直、ここまでしてくれる娘に はっきりしない事を言いたく無い。 「……ありがとう」 俺は彼女の優しさに甘える事にした。 「あっ、そうだ」 とエリナは思い出したように カバンを探って幾つかの小袋を取り出し、 真琴たちのそれを差し出した。 「なにこれ?」 「手伝ってもらったお礼の前渡しです。 ありがとうございました」 エリナはひとりひとりに小袋を渡し、 軽やかな足取りで生徒会室の扉を開けた。 みんなポカーンとしている。
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