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「ねぇ優樹、お金貸してくれない?」
事の始まりは幸村のこの言葉だった。
俺は久しぶりに幸村から掛けられた言葉が
金の催促だった事に悲しみを覚えながらも、
普段通りの対応をした。
「ん?どうした?
お前が俺に借りを作ろうなんて珍しいな?
今月そんなに苦しいのか?」
「まぁギリギリだけどそっちは大丈夫よ。
でも他の事情でお金が必要なのよ。
今度返すから5000円貸してくれない?
まぁそんなに使うかわからないけど」
「ちなみにいつ返してくれるんだ?」
「アンタが死んだ時、
笑いながら棺桶の中に叩きつけてあげるわ」
「お前、歪んでるな!?」
とんでもない女だった。
もはや俺と幸村の関係性は
キャバ嬢とそれに貢ぐ男だった。
「まぁ、1ヶ月以内に返してくれるなら貸してやるよ。その代わりなんで金がいるか理由教えて?」
俺の問いに幸村は
苦虫を噛み潰したような表情で、
嫌そうに……心底嫌そうに答えた。
「さい……瑠奈と
放課後遊びに行く事になったのよ……」
その時、俺と真琴の
放課後の予定が決まった。
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