粘着質でエロいストーカー兄弟

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メールを確認した瑠奈は少し考え込んで ハッとして首を振った。 どうやら絶縁する気は無いらしい。 ……少し安心した。 『ねぇ、瑠奈って兄弟とかいるの?』 ケータイの画面に集中しながらも、 幸村は瑠奈に質問した。 なんだ、ちゃんと喋るのか。 俺はホッと胸を撫で下ろした。 『えっ?あっ、いや、いないよ? っていうか産まれてすぐにお母さんが 死んじゃってお父さんとふたり暮らしだし』 瑠奈は突然の質問に動揺したようだった。 『なんだ瑠奈も?』 『えっ?詩織ちゃんも?』 俺はイヤホンの音量を上げ、 ふたりの会話に集中した。 真琴も少し表情を変えた。 『うちは母さんが他に男作って 出て行って、車で雪道でスリップして 崖下に落ちて間男ごとあの世行き。 ……よし、ざまぁみろ』 幸村はケータイを見ながら言った。 果たしてどちらに言ったのだろうか? 『そっか……辛かったね。 私はほとんど記憶もないから まだダメージは少ないけど……』 『私もほとんど記憶がないわ。 非常に残念だけどね。 あのクソアマの死に顔、 目に焼き付けておきたかったわ。 今だったら棺桶の中の母さんに 唾吐きつけて棺桶蹴り飛ばして 変顔させて棺桶に爆竹ぶち込んで 盛大に見送ってやるのに』 『えっ、え~~~~っ』 幸村はケラケラ笑っている。 『じ、じゃあ詩織ちゃんは お父さんと二人暮らしなの?』 瑠奈……その話は…… 『高校一年の頃に自殺したわ。 貧乏な研究者だったんだけどね、 半生かけて世界的発明したと思ったら 研究発表しようとした数日前に 自分のより遥かにレベルの高い 発明が発表されてね。絶望して自殺』 幸村は……ケータイに集中して…… なるべく無心になるようにして言った。 『私の事を大切にしてくれる…… 本当にいい父さんだったんだけどね?』 幸村は少しだけ笑った。
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