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「なぁなぁお菓子食う~?」
と後ろの席から信也がたけのこの◯の箱を差し出しながら声をかけてきた。
その信也の横には龍もいて、
俺の左隣の窓側の席には悟郎もいる。
こいつらは本来違う席なのだが、
修学旅行恒例の席替えで席を交換してもらったらしい。
「おっ、サンキュー」
と悟郎が身を乗り出し、俺と真琴の顔の間から出ている箱からたけのこをひとつ取って頬張る。
「おい、なんでたけのこなんだ?
きのこ出せきのこ」
と真琴。
しかし全員無視。
俺も信也に礼を言ってひとつ頂いた。
「聞いてよ優樹。
また告られた。うざいよな~」
「おいやめろ。俺もお前と同じように
思ってるみたいだろうが。やめてくれ。
つーかお前クズ過ぎるだろ~」
「おい聞いてんのか?きのこねぇの?」
信也はふっと笑った。
「でもさ?優樹もたまにはそう思うだろ?」
「……ねぇし」
「「なんだ?なんだこのウザい会話?」」
ジト目の悟郎と龍に
「いや、マジでウザいだけだし」
と言って発狂させてから信也は俺に小声で言った。
「あいつらが告白なんて10年遅いよね?」
「遅いんだ……」
もはや尊敬さえしてしまいそうな
まっすぐなロリコンだった。
「あっ、すみません。
きのこの◯ないですか?」
『申し訳ございません…
ですがたけのこの方なら…』
「きのこ派にとって……
この世界は地獄だ……」
あとなぜか隣で真琴が項垂れていた。
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