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「……なぁ幸村」
「……やらないわよ?」
「いるか!!」
嘔吐物の入った、
香ばしい臭いのするビニール袋を庇う幸村。
さっきから何度も弁解しようとしているのだが聞いても貰えない。
バスが信号で停止する。
幸村は「ん?」と窓の外を見た。
俺も気になったのでその視線を辿ったら
信号待ちしているリア充カップルが
腕を組みながらイチャイチャしていた。
「……なにあいつら?死ねばいいのに」
「心から同意するわ。
幸村、あいつら血行が良さそうだ。
献血のお手伝いお願いしようぜ?
2L位貰ってこよう」
「アンタはその気になれば
何時でもあぁなれるでしょ?」
「いや、俺は……」
「あー、ムカつく。
ゲロ塗れになればいいのに」
そう言って幸村は窓を開けた。
そして大きく振りかぶり……
「……って!
お前なにしようとしてんだぁぁぁ!?」
「離せ!ちゃんと2Lの
献血にも協力頂くから!!」
「頂かなくていいからぁぁぁ!!」
「やっぱりこれ欲しいの!?」
「いらねぇつってんだろ!!?」
『なぁ悟郎?
きのこたけのこどっちが好き?』
『キノコデス……』
『だよな?』
……といった感じで
バスはのどかに進んでいく……
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