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その後も幸村の観察をしていたが、特になにも得る物もないまま3時間目の授業が終わった。
次の授業は家庭科の調理実習だ。
俺と真琴は後ろのロッカーからエプロンなどの物が入った袋を取り出し、悟朗と合流して廊下に出る。
「ん?おい、あれ……」
と悟朗が廊下の前方を指差す。
その先には幸村がいた。
「あー、ありがちな間違いしてるな」
「……だな、注意してやろう。
お~~~~い!幸村~~~~!」
俺が声をかけても幸村は無視。
仕方ないので大声で話してやろう。
「女子はコンピュータールームで技術だぞ~!」
「…………えっ!?」
おぉ!スゲー動揺した!?
幸村は早歩きで俺たちの前までやって来た。
「……どういうこと!?」
な、なんだ?
やたらと鬼気迫るような表情だぞ……?
「いや、うちの学校、技術と家庭科が男女が別で火曜が男子が技術、女子は家庭科で木曜が男子が家庭科で女子が技術なのよ」
「えっ………………」
幸村の表情が沈む。
なんかスゲーがっかりしてる!?
「女子は行けないの?」
「おう」
「なに作るの?」
「から揚げ」
「……来週の火曜までお預け?」
「いや、女子はお前が転校してくる前にもう作っちまったよ?来週からは普通の授業らしい」
ちなみにこれは美咲とエリナ情報。
「………………………」
「ゆ、幸村…………?」
俺が声をかけても返事はなかった。
ただ呆然と立ち尽くしていた。
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