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「さぁ!頑張るぞ!」
「おー」
と適当ながらもノってくれる我が弟。
家庭科では出席番号順に4人班を作っているので真琴と俺は同じ班になる。
「うまいから揚げ作るぞー!」
「……うまいもクソもから揚げって鳥肉ぶつ切りにしてから揚げ粉につけて揚げるだけじゃねーか。味は肉の質とから揚げ粉によって決まる」
「だから心を込めるんだよ」
「……残念。俺には美味しいから揚げは作れそうにないな」
確かに……こいつなら殺意がこもったから揚げができそうだ。
「ついで言うと俺は作れねーよ」
と、真琴は折れた左腕を上げる。
確かに片手だけではものを押さえたりできないから包丁は使えない。
「あれ?じゃあ毎朝瑠奈の家でなにやってんの?」
「…………ラブラブ?」
聞くんじゃなかった……
本当に聞くんじゃなかった……
気を取り直してから揚げ作りを始める。
他の班員のふたりは真琴と会話を始めたので俺がひとりで作ることになった。
男子の家庭科の適当度ハンパねぇ……
また気を取り直して、
まずは鳥肉をぶつ切りにしていく。
順調に鳥肉が同じくらいのサイズへと切りそろえられていく。
まぁから揚げならひとりでも楽勝だな。
「兄貴!!」
「うぉっ!?」≪サクッ≫
人差し指を少し切る音がした。
「痛てぇぇぇぇ!……真琴!急に話しかけるな!」
「ほんのちょっと切れただけじゃねぇか。
………………残念」
「本音が飛び出してるぞ!?」
お陰で鳥肉に少し血がついた。
俺はサイフから絆創膏を取り出し、
傷口に巻いて鳥肉についた血を水で洗い流した。
「…………んで?なんのよう?」
「ただ呼んでみただけ」
本気で殺してやろうかと思いました。
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