俺はあいつを笑わせたい!

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……つまらない 本当につまらない つまらな過ぎて逆に清々しい。 顔の力が勝手に抜けていく…… 「…………ふふっ」 ≪ガラガラ≫ 「あーっ!笑った!幸村笑ったな!」 ……クソバカクズ野郎の声が聞こえた。 いや、マジで死ねよ本当に。 ……切実に。 「……笑ってない」 「いーや!笑ったね! めっちゃ笑ったね!本当に!」 私のそばに駆け寄って、無礼にも私を指差して言う山口 優樹。 こいつは面白くないって言われてムキになって芸やって、観客がちょっと笑っただけでやたらとそれを主張するつまらない芸人ですか? ……説明が長い辺り私は勤勉だと思う。 「あっ、危ねぇ」 といきなり山口 優樹は私の頭を下に抑えこんだ。 すると後ろから≪ガァン!≫という重く鈍い音。 振り返ると鉄のトンボが壁に突き刺さっていた。 ……冷や汗たらり。
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