幼なじみは近くて遠くにいるという

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・ ・ ・ 翌日、俺たちは駅前までやって来た。 「やっぱ休日は人が多いな」 「そうだね~」 見渡す限りの人、人、人。 待ち合わせをしていたり、通勤途中だったり、団体で話していたり、普通に歩いていたりと駅前は大変賑わっていた。 ここの駅は交通の便がよく、更に大型のショッピングセンターがいくつか隣接しているのでやたらと混むのだ。 「あっ、織田くん」 そう言った美咲の視線の向こうには爽やかに本を読みながらベンチに座る信也がいた。 そういえば真琴と服買いに行くって言ってたな…… 「私……未だに織田くんがロリコンだなんて信じられない……」 「あいつ曰く、自分はロリコンな訳ではなく、たまたま好きになる娘がロリなだけらしい……」 「うっわ~」 美咲が信也に哀れみの視線を向ける。 正しい反応過ぎて言う事がない。 「でも意外とキャラ作ってるだけかも?」 「えっ……それはねーと思うけど……」 ……今まで接してきた感じだと。 「でも織田くんってどこか策士っぽくない?本当は過去に女性関係で嫌な事があって、それで女の子に近づかれないようにわざと引かれるようなキャラ作ってるのかも……」 「おぉっ、そんな事考えもしなかった」 もう一度信也を一瞥する。 確かに……あいつは策士的な部分もあるし、そうなのかもしれない。 だとしたら……なんか悲しいな…… 「あ~っ、じゃあ行こっか?」 俺の微妙な表情に気づいたのか、 美咲は空気を読んでそう切り出した。 「……そうだな」 まぁ、今は気にしてても仕方ない。 とりあえず美咲と遊ぶのを楽しむ事に集中しよう。 美咲が歩き出したので、 俺もその後を着いて行く。 ……あれ? なんかふたりっきりで遊ぶのなんて久しぶりだからそこそこに緊張してきたぞ? .
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