幼なじみは近くて遠くにいるという

7/29
前へ
/714ページ
次へ
・ ・ ・ さて、美咲に連れられて やって来たのは駅前の百貨店。 4階建ての大型の百貨店で衣食住の全てが揃っている。 ……ここになぜかテロリストがやって来て、それを俺がかっこよく成敗する妄想をしていた時期が俺にもありました。 「んで?何買いにきたの?」 俺がそう聞くと、 前を歩く美咲はこっちを振り向いた。 「う~ん。欲しい物は最後に買った方がいいものだから……また後で!」 美咲は少しの間だけ立ち止まり、俺が追いつくと同時に歩くスピードを遅くして俺の隣に並ぶように歩き始める。 「優樹はなにか見たいものはないの?」 「……見たいものっていってもな~」 急に言われても困る。 『今日の晩ご飯なにがいい~?』 と同じ位に困る。 二つとも共通して『別に』が一番ダメな答えのやつだ。 俺はそのダメな答えを返さないように模索を始めたが、なかなか思いつかない。 それを見た美咲は適当に案を出した。 「服屋さんとかは?」 「それは今の俺の地雷だぜ?」 軽いトラウマスイッチだぜ? 「優樹ってファッションセンスないじゃん? だから私が鍛えてあげる!」 美咲が寝言を言う。 「ファッションセンスがないんじゃねぇよ。 ……時代が俺に追いついてないのさ」 「黄緑と水色の迷彩色で、背中に黄色で大きな星が描かれたシャツが流行の時代なんてなかなか来ないと思う」 美咲が俺が今着ている服をバカにする。 ……いや……普通にオシャレだろ? .
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7526人が本棚に入れています
本棚に追加