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店でタグを切ってもらい、
早速コートを着てみる。
我ながら素晴らしいフィット感。
このコートは俺と出会うために生まれてきたのだろう。
俺たちは店を後にした。
美咲がいつもより若干距離を置いていることが印象的だった。
服を見ている間に時間はちょうど昼時。
ふたりとも小腹が空いてきたので、
フードコートにやって来た。
かなり混んでいたけど、俺たちの目の前で調度席が空いたので簡単に席に座ることができた。
「なぁなぁ?似合ってるだろ?」
「はいはい、似合います」
新しい服買ったテンションってヤバイよね?
というわけで美咲に自慢中。
……いや、人の自慢話がどんだけ面白くないかは知ってるけどもうちょっと反応しようぜ?美咲……
「はぁ……なんで優樹は両親のファッションセンスの良さは遺伝しなかったんだろ……」
美咲が呟いた。
納得いかない。
「まてまて、俺は父さんと母さんからいいところを全部貰ってきた。だから俺は、顔よし、頭よし、運動神経よしの完璧人間だ。……だったらファッションセンスも受け継いでいるはずだ!」
「……そこまで自分に自信が持てるのは逆にすごいね……」
異端なのは知ってるけどな。
だから仲のいい奴の前でしか言わない。
「でも優樹って悪いところもしっかり受け継いでるよね?」
「例えば?」
鼻で笑うように聞き返す。
性格以外には自信がある。
ナルシスト?言わないであげて?
例を問われた美咲は軽く上を向いて
答えを絞り出し始めた。
「……まずは……バカでしょ?」
「えっ?」
バカ?俺が?
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