幼なじみは近くて遠くにいるという

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「は、話は聞いていたかね?美咲さん?」 あまりの衝撃に俺、動揺。 俺が……俺がバカなはずがない! 「しっかり聞いてたよ? んで、結論が勉強ができる=バカじゃないって思ってること自体がバカ」 そんなバカな!? 「な、なにを言っている?バカっていうのは父さんや悟郎や龍や父さんのような奴のことを言うんだぜ?」 父さんは大事なので二回言った。 「うん。確かにお義父さんと坂本君は勉強もできないかもしれない。……でも伊東君は違うでしょ?」 た、確かに……悟郎はそこそこ勉強できる。 前の模試だって偏差値62くらいはあった。 で、でも! 「あのね?優樹?優樹はバカの究極型であるお義父さんに育てられたから感覚が麻痺してるだけ。 ……優樹しっかりとバカよ?」 俺の脳裏に稲妻が落ちる。 もはや父さんが物凄い言われようなのすら気にならない。 つーか父さん自身が認めている。 自分はバカだと。 でも俺は……いや、そんなはずは…… でも自分で気づいてないだけっていうのも…… いや!そんなはずはない! 「美咲!ちょっとトイレ行ってくる!」 俺はそう言い残し、近くのトイレに入り、 個室に籠って電話をかけた。 電話の相手は『父さん』 ……本物のバカを確かめるために。
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