幼なじみは近くて遠くにいるという

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・ ・ ・ ≪11年前≫ 美咲のお父さんは 俺たち兄弟にとっても父のような存在だった。 当時、父さんたちの会社はまだまだ小さく、 給料もろくに払えないような状態で、 父さんも母さんも会社が終わってからふたりでアルバイトに出かけて成形を立てていた。 それでもかなりの貧乏生活。 ぶっちゃけ食べ物には苦労した。 一度だけ給料日前に晩飯がご飯と焼き肉のタレだけだった事がある。マジで半泣きになった。 そんな時、父さんも母さんも悲しそうな表情で「ゴメンね……」って謝った。 父さんも母さんもなるべく俺たちのそばにいてくれようとしたが、やはりそういうわけにもいかない時もある。 そんな時はよく隣の美咲の家によく預けられていた。 だから美咲のお父さんもお母さんも俺たちにとってはもう一人の親みたいなものだった。 「よし、じゃあ美咲、優樹くん。真琴くん。 将来の夢について語り合おうか!」 「夢なんて必要ないよ? 必要なのは夢を見ることじゃなくて 目標を立てて、それに向けて努力することだと思う」 「夢なんて叶わないから夢。夢でしかないからそれをやろうともしないから持ってても基本的に捨てることになるわけだしね」 「……君たち本当に6歳児?」 美咲のお父さんはよく 俺たちと遊んでくれた。 俺たちが寂しくないようにだろう。 真琴も俺もその辺は本当に感謝している。
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