幼なじみは近くて遠くにいるという

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・ ・ ・ ……なんつー大切なこと忘れてんだか…… 俺は美咲に「ごめん」と謝った。 でも本当なら美咲だけじゃなく美咲のお父さんにも謝らなければいけないことだ。 でもそれはできない……それがつらい…… 「いやいや!いいよ! そんなに気にしなくて!」 美咲は慌てて俺に気遣いの言葉をかけた。 「……あ~ぁ、俺ってバカだな」 「やっと気づいた?」 「……そこは『そんなことないよ?』だろ」 自分で言ったけど傷ついた。 「あっ、私、お父さんに『正直に生きろ』って言われてるから」 「確かにそれは大切だ。 でもオブラートに包むこと必要だからな?」 「……おぶらーと?」 「……よし、認めよう。俺はバカだ。 だが美咲!お前も俺と違うタイプでバカだ!」 「違うもん!ただそれだけわからなかっただけだもん!」 「……そーだねー」 「むーっ!なにその態度!」 「それはそうとさ~……」 「待って!まだ話は終わってない!」 「……諦めようぜ?俺は幼なじみに龍と同じタイプのバカだなんて言いたくない」 「あぁっ!言った! 人生始まって最大の屈辱!」 「それは龍がかわいそうだろ~…… ……ひたひひたひ!頬っぺたつねんな~!」 ・ ・ ・ 反省していたはずだったのに、 なぜかバカみたいな会話しながら帰っていた。 こういうのは本当はよくない事なのかもしれないけど楽しかった。
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