彼視点のその過去

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参考書の見開きを終わらした辺りで、伸びをして「よし、終わり~」なんて言って勉強を終える。 振り返って時計を見てみると、針は大体12時15分辺りを指していた。 今日も気づかない間に一日が終わっていた。 どんどん増えていく兄貴と悟郎と龍の彼女いない歴を思い、少しの涙を流す……わけもなく、欠伸して涙を流す。 ……時の流れは残酷だなー そしてもう一回、 兄貴の言っていた事を思い出す。 『……帰ってもいいのかな……』 兄貴が家を出て行った時、俺に説得された兄貴が漏らした言葉だ。 ……いや、違うだろ? 今思い出すべきは『今日は美咲のお父さんの命日』みたいな話だろ? なに無駄に『なんでこんなに無駄なこと思い出してんだ?』みたいなこと思えないような言葉思い出してんだ? ……最近、俺の全ての行動が無駄にSな件。 「……そっか……今日があの人のねー」 口に出してなんとか無理矢理方向修正。 ……そんな自分が悲しい。 そしてそれとは関係なしに なんとなくだけど傷心の俺。 ……晩飯食ってる時に、兄貴に勝手にトンカツを一切れ持っていかれたからか? ……なんて現実逃避。 俺は椅子に大きくもたれかかって 過去の思い出巡りを始めた。 ・ ・ ・
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