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人里からちょっと離れた草原で寺子屋の生徒達が"打ち返し遊び"をしていた。
野球のように守備についているが、野球ではない。
投手が投げたボールを守備が居ない場所に打ち込む。誰も取れずにボールが落ちたら、その場所がポイントになる。
投手の子供がボールを放った。子供らしい山なりのスローボール。
「おりゃー!!」
打席に居た氷精のチルノの声と共に、白球が宙を舞った。ぐんぐん空に伸びていく。完全に長打のコース。
誰もいない草原に吸い込まれていく。
だが、草原と同じ緑色の髪がふわりと浮いた。パシンと軽い音を立てながらその緑髪の妖精、大妖精がキャッチする。
「あー!」
チルノはまるで捕ってはいけないような声を上げて、悔しそうに地団駄を踏む。
「んもー!また大ちゃんなのー!?」
「大ちゃん守備範囲広いからねー」
キャッチャーの猫叉の橙が笑いながら言った。への口にしながらボヤき始める。
「なんか、日に日に上手くなってる気がする」
チルノが愚痴るのも無理はなく、寺子屋で一番守備が上手かった。
大妖精は笑いながら内野にボールを返すと、遠くを見つめた。その視線の先には古い野球場。遠くから見れば小さな山にも見える。
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